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第五中足骨骨折で明けた年(受傷34日目・術後26日)

まさかここまで続くとは思っていなかった平成30年が明けた時、私の第五中足骨はまだ折れたままであった。

うっかり怪我をしてから1か月。
振り返ればあっという間なのだが、日々刻々、不自由な状態で手作りの膝サポーターのお世話になり、手すりを使って立ち上がり、プッシュアップで乗り移り、ぶよぶよに膨れた足をさすさすして「早くよくなれ」と励ます間は、一体いつになったら健常な生活を取り戻せるのだろうかと思うばかりであった。

とはいえお正月である。
おせちをつつきながらアキラ100%の100%モロ出しに爆笑し、家族に車を出してもらって自分の家まで年賀状を取りに行き、雑煮を食べながらのんびり過ごすのは、怪我をしていようがいまいが格別であった。

実はこの年末年始は、海外に行く予定だった。
ところが怪我をする少し前、ツアーが出なくなったとのことでキャンセルになったのだ。
他に行けるところを探したが、申し込めるのが既に行った事のある国だったりして断り、夏の終わりに家族が入院したこともあるので今年は家でみんなでのんびり過ごすかと旅行自体を断念していたのである。

今思えば、結果的にはちょうどよかった。
もし事前にキャンセルになっていなかったら、怪我で自己都合キャンセルしなければならなかったため、違約金を支払う可能性があったかもしれない。
うーむ、不幸中の幸いだったのか、幸いなれど不幸だったのかよくわからない。

2日には親戚が年始の挨拶に来たので、案の定「一体何がどうした」という好奇にさらされた。
正月はつつがなく過ぎていき、送っていない人への年賀状を作成して家族に投函してもらったり、年末の深夜番組の録画を消化したり、昨年の収支を総括したりして過ごした。
冬アニメは正月からいきなり始まるものは少なかったが、2016年のヒット作「君の名は」がTV初放映されたので、楽しみながら見た。

そんな平和な正月を過ごしたのち、5日の診察に備え、4日にはまた自分の家に帰った。
この4日に行った一大事といえば、「初めての入浴」である。

実家の風呂は数年前に改築し、手すりもついていてそれなりに快適なのだが、入り慣れているのはやはり自分の家の風呂である。
不自由な体で、慣れない場所で、最も無防備な状態で、「湯船につかる」というのは、さすがにためらわれた。
なのでこの日にいたるまで、家でも実家でもシャワーしか浴びてこなかったのである。
足が冷たくなるので足浴は行ったが、何しろ厳冬の折であるからお湯がすぐに冷めてしまい、快適とは程遠かった。

それが、ついに入浴解禁である。
風呂を沸かすなど、いつもなら浴槽の栓をして、台所の大元のスイッチを入れ、自動ボタンを押すだけなのだが、今はこれが大変である。
膝立ちでもたもたと洗い場に入り、もたもたと栓をし、もたもたと台所まで移動して立ち上がり、ボタンを押す。
沸かしている間に安全に移動するための動線を確保し、もたもたと移動しながらバスタオルや着替えを用意する。

風呂が沸くと、シャワーの時とは違い、「ギプスシーネで守られていない足で、重い体を支えて浴槽に入る」という動作が待っている。
まずは洗い場に膝で立つ。
もちろん生膝である。
そして浴槽のへりに座る。
健常な人はぐわっと前向きで入るが、麻痺がある人や足の踏ん張りがきかない人は、まず浴槽に背を向け、洗い場に足を下ろして、ヘリに座る。
この形が一番安全であり、正解である。

なお、高齢者の場合は座るのが幅の狭いへりでは危ないので、入浴ボードなどを使った方がよい。
しかし人間というのは健常な時の「ぐわっと前から入る」入り方が体に沁みついているので、この「まず後ろ向きに座って、体を回す」ということがなかなかうまくできないのが難点である。

我が家の風呂は浴槽の壁に手すりがあるため、振り向きながら手すりををしっかりと掴み、まずは健足である左足から入って踏ん張る。
そして次に患足を持ち上げて風呂に入る。
手すりとへりを持つことと、浮力のおかげで患足にかかる荷重はかなり軽減されるので、痛くなければそのまま浴槽の底につけ、体を沈めていけばよい。

浴室の手すりは本当にありがたい。
健常な人でも、のぼせてくらくらしたり、滑ったりすることがあるので、つけるかどうか迷ったら絶対につけておくべきである。
若い人でも、自分もいつかは必ず老いるのだと自覚して、努々、玄関に段差や階段をつけるバカなオサレ屋敷にしてはならない。

久々に熱い湯にどっぷりと浸かった右足には、驚くような感覚が走った。
それまで長らく滞っていた血流が、一気に足の中をダッシュするような、ものすごい感覚である。
気持ちがいいとか悪いとかではない。固まっていた血が急激に溶け出し、ばばばばっと駆け巡る感じだ。
心地よい痺れのようなものが走り、やがてそれが落ち着いてじっくりと温まっていく。

うーむ、一体どれほどの血流が滞っていたのだろうか。
お湯に入った患足は、健足である左足とは比べものにならないほど真っ赤になり、足の指も心なしか柔らかく動かせた。
足首を軽く動かしてみたり、足の裏を軽く押してみたりと、お湯の中ならではのマッサージをしたりした。

この初日の入浴が非常に気持ちよく、足の状態も明らかにそれまでよりよくなったので、私はここから受傷2か月に至るまで、多い時は1日3回入浴をするようになった。
水分補給のためにペットボトルで水や麦茶を持ち込み、ソシャゲをしたりマッサージをしたりしながらのんびりとお湯に浸かるのは至福であった。
これが本物の温泉だったらもっとよかったろうなーと思いつつも、そこまでの贅沢は言えないので、せめて入浴剤で気分を出すようにした。

この一日複数入浴の効果はテキメンであった。
まずあのぶよぶよの内出血とむくみが、この入浴解禁以降は劇的に改善していく。
そして足首の柔らかさや指の動きも、加速度的によくなっていった。
また、傷そのものもかさぶたの下で盛り上がってきていたのだが(傷は治癒力と共に癒着して盛り上がり、ケロイド状の痕になりやすい)、入浴後は傷も柔らかくなり、盛り上がった部位も緩んで落ち着いている。

とりあえずこの日、「風呂で患部を温める」ことの効果に驚きつつ、明日はいよいよ術後1か月を経過しての運命の受診である。
ギプスシーネでの固定は終了し、歩行のための訓練が始まってしかるべき日数も経過した。
今度こそリハビリに通うことになるだろう。
しかもこんなに足首や指の状態が良いなら、きっとすぐに歩けるようになるだろう。
それでもまだ荷重は1/2とか2/3なんだろうなぁなどと想像しながら診察が楽しみであった。

もしいつも通り仕事をしてたらもう正月休みも終わりだなぁ、寂しいなぁなどとのんきに考えながら、「でもまだ1か月は休めるもんね」とぐうたらなことを思ってニヤニヤしたりしていた。
こうして2018年は明け、楽しい正月もあっという間に終わったのである。

2018/02/08 18:35 |第五中足骨骨折COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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