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退院万歳(受傷10日目・術後2日目)

退院日の朝も看護師の声掛けではっと目覚める。
退院が待ち遠しくて2時間前後しか眠っていないと思うが、今日で帰れると思うとそんなことはもはや問題ではない。
病院だろうが何だろうが便秘になることもなく、相変わらず痛みもなく、体調は万全である。

最後の朝食はごはん、みそ汁、肉じゃが、青菜のお浸し、牛乳。
昨日手術して絶食していたAさんも、今朝は水を飲むことができ、食事も介助を受けながら食べたようだ。
内容はおかゆのようなものだったらしく、ここでもすでに手術当日に普通食だった私とは違う。(絶食時間が長いからであろう)
なお朝食時間中に、昨日の私のように担当医(院長)が様子を見に来ていた。

食事が終わると最後の点滴が行われ、終了後にルートが抜去された。
「今日は退院ですよね」
そう言われたので、退院の手続きについて聞いてみた。
「回診が終わって、会計をしていただいたら退院ですよ。会計ができるのが大体10時くらいかな。請求書はもらいました?」
「もらいました。」
「それを持って1階の会計で支払ったら、書類をもらえるのでナースステーションに持ってきてください。」
1階に会計か…自分で行くか、家族が来てから行ってもらうかだが、とりあえず家族には11時に来て欲しいとメールを送った。

午前中の回診では、昨日と違って包帯やギプスシーネが外された。
私も初めて手術後の自分の足を見たが、結構傷跡が大きく、長い糸が出ていてテープで止められている。
内出血は骨折直後ほどではないが、健足と比べるとむくみまくっていた。足の甲が左の3~4割増に太い。
あと、手術痕とは別に、甲の部分に明らかに新しい傷が一つ増えていた。
なお、手術する側の足の第2指の下に、ぐるぐると渦巻きが書いてあった。確かに書き過ぎである。

回診は術後のAさん、胃が痛いCさん、腕を吊っているBさんの順で、最後が私だった。
回診の先生は私の副担当医で、傷跡を見てうなずき、リハビリはやってるの?と看護師に聞いた。
「えーと、歩行指導だけですね。今日退院です。」
「じゃリハは通院でってこと?」
「〇〇先生のところです」
「あー、〇〇か。僕ね、〇〇と同期なんですよ」
そう言われたがピンと来ず、「そうなんですねー」と適当に合わせておいた。
私が最初にかかった整形外科の先生と同期ということだが、その時は下の名前で言われたのでわからなかったのだ。

「これ、取ってもいいんじゃないの?(院長に)怒られるかな」
さらに先生は、骨折部にかぶせられているギプスシーネを見て言う。
試しにとって歩いてごらんと言われたので、松葉杖で踵だけ突き、歩いてみる。
足の痛みはないが、傷口がギプスシューズにこすれるのでちょっと不安である。
「大丈夫そうだね。取っていいよ。じゃ、あとは〇〇先生のところでね」
そう言い残して、私の回診は終了した。

しかしまだ傷口がふさがりきっていないので、間違いなくこのまま靴を履くことはできない。
看護師が「そうはいっても不安だろうから、持って帰っていいですよ。」と言い、はめる向きがわかりやすいように「指」と書き込んで、包帯を巻き直してくれた。
これなら安心である。

Aさんは手術した部分は痛くないようだが、腰や踵が痛い痛いと訴えている。
そして相変わらず同じ姿勢を続けたらダメ、体位を変えるようにと注意されている。
Cさんも胃が痛くて内科で診察を受けたと話し、体感装具を作成するので型を取ったと言っている。

しかし、驚いたのが右隣のBさんである。
腕は吊っているものの利き腕ではなく、元気にすたすた歩きまわり、引きも切らない見舞客とおしゃべりをし続ける彼女は、「一体なぜ入院し続けているのだろう」と思わせるほど元気だったが、「リハビリ病棟に移るのは嫌」とは言うものの、「退院したい」とは、これまで一言も言っていなかった。
なのにここにきて突然、「先生、私、もう退院したいんですが」と聞いたのだ。

いきなりは無理では?と思ったが、こちらも驚くことに、回診の先生はあっさりと、「ああ、いいんじゃない?あとで日にち確認しておいて」と言った。
恐らく、自分より後に入院・手術をし、まだ歩けないのにすぐに退院する私を見て、長期入院でリハビリ病棟に行くくらいなら思い切って家に戻ることにしたのだろう。

私が会計を済ませる頃には、なんと明日の土曜日に退院することが決まっていた。
病院側はいつでも退院できると踏んでいたのに、本人が不安で帰れなかったのだろう。

そうやって「家での生活が不安だから」と入院が長期化するケーズも多いのだ。
恐らく、入院費を気にしなくていい(相手の保険で支払われるため)Cさんも、歩けているのに何十日も入院するつもりだろう。
もし若い人だったら、あれだけ動ければ無理をしてでも退院し、職場復帰するに違いない。

少し遅れて麻酔医がAさんの様子を見に来たが、「今日退院?」と私にも声をかけてくれた。
「はい。ありがとうございました」
「痛くない?感覚はある?指先動かせる?」
「痛くないです。感覚もあるし動かせます。大丈夫です。」
「そう。足が攣ることもちゃんと先生に相談しなよ」
気にかけてくれていたのはありがたいことである。

10時になったので洋服に着替え、荷物をまとめた。
ティッシュは全く使わなかった。飲み物も全部片付き、書類などもリュックに入れて万全である。
今回は3泊4日分レンタル代金を支払うことになるのだが、パジャマを着たのは1日目と3日目だけ、タオルなども手術日に1回取り換えてくれただけだった。(言えば毎日取り換えてくれたのかもしれないが…)
値段に合わない気もするが、歯ブラシセットやシャンプー、ボディソープをもらったので、旅行などで活用しようと思う。

それから意を決し、請求書と財布を持って松葉杖で1階へ向かう。
病棟ならともかく、一般人がわさわさしている1階に行くのは勇気がいるし、細心の注意も払わねばならないため、緊張する。
廊下では手術帽をかぶり、手術着を着たおじさんが、自分でガートルを持って看護師と一緒にエレベーターに向かっていた。
そうか、私は歩けないのでストレッチャーだったが、歩ける人は自力で歩かされるんだ…と思う。
たとえ院内とはいえ、あんなペラペラの心もとない手術着で歩くのは嫌だ。

入院当日に支払った保証金を差し引き、クレジットカードで支払う。
家族に迎えに来てもらうにあたって、現金を用意してもらわなくていいし、借金も保証金のみなので計算しやすい。
手続き中、私の足の傷のようなどす黒い縫い跡が顔中縦横無尽にある人が窓口に来ていて、この病院が場所柄、交通事故の人が多いことを実感する。
支払いを終え、エレベーターを待っている間に家族が到着したので、一緒に2階のナースステーションに向かった。

支払い済みを証明する書類を渡すと、看護師が退院用の書類や薬を渡してくれた。
封のしてある診療情報提供書とCD-ROMを、リハビリでかかる地元の整形外科に渡すよう言われた。
退院許可証は必要に応じて渡すよう言われ、1か月経ったら破棄していいとのことだった。
それから職場に出す診断書。希望通り、2か月の安静が必要で、全治3か月と書かれている。
診断書は後でコピーを取り、職場に郵送しなくてはならない。

ロキソニンと胃薬の追加分は、地元の整形外科にかかる日が遅くなった場合を見越して、多めにもらったものである。
結果的には痛みに悩まされることは一度もなかったので、手つかずのまままるまる残っている。

これで手続きはすべて終了したので、いつでも帰れる。
荷物はまとめてあるので、最後に看護師が忘れ物がないか確認に来て、腕にはめられたIDリングをハサミで切ってくれた。
IDリングは間違った薬を投与されたり、痛くもない足を手術されたりしないための、「自分である証明」ではあるが、逆に言えば囚人のようだったから、晴れて無罪放免という気分である。
一度も話したことのない同室の人に挨拶するのも変だったので(そもそも眠っているAさん以外はいなかった)、そのまま部屋を出る。
忙しそうにしているナースステーションに声だけかけて、さっさと退散した。

ちょうど救急車が到着していたので、その横をのたのたと通行し、車に乗り込んで一息。
これでようやく家に帰ることができるので、嬉しくてたまらない。

実家に帰ると昼食を食べ、職場に電話をした。
水曜日に手術が終わり、今日退院したことと、2か月間の休暇のため必要な診断書を書いてもらったので、近々郵送すると伝えた。

ほかに、入院前に注文していたバレーボール用のサポーターが届いていた。
健足はいい感じにはまったが、さすがに患足は傷があるためそのまま使うわけにはいかず、手を加える必要がありそうだった。

それと、洗面台で髪を洗った、
実家は蛇口がシャワーにできるので、椅子を運んで座って洗える。
退院したら一番に髪を洗いたかったので、本当に嬉しかった。

とにかく退院できてほっとした。
まだ立つことも歩くこともできないが、家で過ごせるのは本当にうれしい。
週末は犬と猫に囲まれつつのんびりと過ごし、来週は地元の病院にかかるため、日曜日に自分の家に帰る予定である。

骨折ブログを読むと、私と同じように手術をした中で、早い人は3週間を過ぎたところで、遅くても1か月でギプスも杖もなしになっている。
私も、当然自分もそうだと思っていた。
何しろ受傷してからは、手術が必要なほど悪い状態なので、足を床につくことはご法度。
とにかく何もできない状態だったが、手術を終えたことで、ずれていた骨は正しい位置に戻り、これからは治っていくのを待つだけである。
それだけでも展望が開けていいじゃないかと、明るい気持ちでいた。

この後、それが甘かったことを思い知ることになる。

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